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ものづくり最前線(3)設計

「もったいない」から生まれた省エネ発想−[前編] “回生電力の有効活用”から“マイクログリッド”まで! −回生電力補償装置「SANUPS K23A(Rタイプ)」

国内の電力消費量の半分近くはモータを使用する分野が占めるともいわれています。CO2低減が課題とされる近年,モータ使用時の省エネ対策として回生電力の有効利用が期待されています。
前編の今回は,回生電力補償装置「SANUPS K23A」の開発秘話を中心に,近年課題である省エネ化に製品開発を通じてどのように取り組んでいるのか,パワーシステム事業部 設計第一部の奥井さんにお話を伺いました。

奥井 芳明(おくい よしあき)

1992年入社
パワーシステム事業部 設計第一部
無停電電源装置など電力変換機の開発・設計に従事。

奥井 芳明
―まず,回生電力補償装置「SANUPS K23A」の特長を教えてください。
SANUPS K23A

回生電力といって,産業設備や搬送設備ではモータが減速するときに電力が発生します。通常は熱として消費され無駄になってしまうのですが,「SANUPS K23A」はこの回生電力を電気二重層キャパシタに蓄電して再利用する装置です。

特長としては電力品質改善と省エネをひとつの装置で実現している点です。直流電力だけ省エネをしようとすると,商用電力側では品質保証ができていない。私たちの製品は入力の品質まですべてに対応できるところにメリットがあると思います。

―開発の背景を教えてください。

実は,瞬時電圧低下補償装置として“回生補償機能”と“ピークカット機能”を入れた「SANUPS C23A」という装置が始まりです。瞬低補償装置として他社にはない機能をつけようということで始めたのですが,逆にそこだけに特化した話がでてきました。

サーボシステムでは,コストの関係もあり電源特性はあまり気にされていませんでした。ですが、モータドライブは日本全体の電力の約57%を消費していて一番大きく,近年,省エネが課題となっていました。
開発会議サーボモータは動かすときにはエネルギーが必要ですが,止めるときには運動エネルギーが返ってきます。今は回生抵抗で消費していますが,省エネという観点ではもったいない。それを電源側に戻してほかのところに使う,いったん溜めてすぐ使うとか,モータに関する電力を,モータ性能ではなく商用電源のインタフェースを良くしながら,電力品質の向上,省エネ化をすればメリットがあるだろうと考えました。当社はUPSの開発をしているので,もともと商用電源の電力品質を改善する変換技術を持っています。

―日本の電力消費の57%がモータドライブ…意外でした。

そうですね。さらに,モータが大容量化してきているので,そこにこの問題が必ず生じてきて結構な費用がかかってしまう。
だったら,最初から一体型コンバータでココをきれいにしちゃう,電力品質を改善し,さらに省エネを図るというのをひとつの装置でできるようにしようということです。「後づけでサーボドライブに入れるのは開発行為になって大変なので,電源から頭を置き換えてください。」としたほうが楽なんです。

あとは,高調波で困ってるお客さんも,たくさんいると思います。高調波は,ほかの機器,系統,ほかの配電系統に繋がっているところに誤動作を与えたりします。そこで,急進な動きをしないように,アクティブフィルタ機能できれいな正弦波になるよう調整して高調波対策もできるようにしています。

―具体的に想定した用途はありますか?
奥井 芳明

想定した用途は,まず立体駐車場です。立体駐車場では車を上下に動かしますが,当然,車が乗っていれば戻ってくるエネルギーが大きいんです。これを有効利用していくというのを提案したら,立体駐車場メーカーがずっと考えて求めていたものだったんです。

省エネという用途でいうと,スタッカークレーンとか,工場の天井クレーンです。港湾クレーンの話もいただいています。エネルギーが大きいので,直近で落ちてくるエネルギーを溜めて吐き出せば,引いてくる電源を小さくして省エネ化できるし,エンジン発電機の場合は小型化できます。
基本的には物流システムなど,エネルギーが変化するところに可能性があると思っています。そういう意味では,回生電力補償装置というのはいろいろ可能性があります。

―「Kシリーズ」としては,グリッド管理装置もありますね。

はい。グリッド管理装置と呼ばれているのは,あえて「Kシリーズ」にしています。構成されている蓄電デバイスの電気二重層キャパシタを一部リチウムイオン電池にしたもので,動作の基本的な考え方はほぼ一緒です。

電気二重層キャパシタは,コンデンサのお化けみたいなものですが,たかだかコンデンサなので,数秒程度のエネルギーしか扱えません。リチウムイオン電池にすることで,扱えるエネルギーは数秒から数時間になります。

3.11以降,電力インフラや電力品質にかかわるところが大きく変わっていて,電力変換器にはインタフェースやほかにもいろいろな要求が出てきました。大きくいえばマイクログリッド,小さくいえばモータドライブシステムにおける電力のスマート化,いろいろと適応する場所はあると思います。今は将来の製品の創出段階なので,どれが成功するかはわからない。ただ,芽が出てきたのは,回生電力補償装置やピークカット装置でした。

―開発にあたってはチームでやってらっしゃるんですか?どのような雰囲気なんでしょう?
作業風景

そうです。チームです。

「将来に役立つ装置を我々はやるんだ!」ということで,みんな大変だけれどもそれなりのモチベーションを維持してくれていると思っています。
製品にはライフサイクルがあり,衰退期が必ず存在しますので,やはり次のものに少しずつ着手していかなければいけない。私たちのチームは,種をまいて次の芽が出る状況をつくるのが役割だと伝えています。ただ,市場になく,形が決まっていないものを作るのは非常に難しいし大変なんですが…“新しいもの”ってホント大変なんですよ(苦笑)
でも,やったものしかわからない達成感,喜びをぜひ体感してほしいし,みんなで頑張ってやろうよって感じですね。

(更新日:2012/10/10)

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