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ものづくり最前線(4)設計

「もったいない」から生まれた省エネ発想−[後編]電気二重層キャパシタで大電力を“瞬間アシスト”!−ピークカット装置「SANUPS K33A」

前回に引き続きパワーシステム事業部 設計第一部の奥井さんにお話を伺いました。
後編の今回は,商用電源側の電力品質を改善するピークカット装置「SANUPS K33A」の開発裏話や,製品開発への想いを伺いました。

奥井 芳明(おくい よしあき)

1992年入社
パワーシステム事業部 設計第一部
無停電電源装置など電力変換機の開発・設計に従事。

奥井 芳明
―まず,ピークカット装置「SANUPS K33A」の特長を教えてください。

SANUPS K33Aピークカット装置はかなり特殊かもしれません。「SANUPS K33A」は,工場などの電気設備の始動にともなって瞬間的に大電流が流れた際に,電気二重層キャパシタに蓄えておいた電力を放出することで,電力のピークを抑え,商用電源側の電力品質を改善します。

―開発の背景を教えてください。

開発の背景としては,サーボプレスを主体として,お客さまの開発グループと一緒に将来のモータドライブシステムの省エネ化,電力品質の改善を目標に装置を作ったという流れです。

まず,プレス業界の動向をお話しします。もともとプレスは,メカプレスといってサーボモータを使っていなかったんです。ですが,押すときの「ぐっ」という力や精度が要求されるようになってきて,サーボモータ化を進めたいが電力品質の問題でどうしようもないという状態でした。
自動車のボディなどの型を取る2000トンぐらいのプレスには,200kW以上のモータを10台近く使っていて,瞬間的に3000kW,4000kWの電力が必要です。すると,そんな電源線は引けないんですね。そのなかで一瞬の大きな力を2000kW分とかアシストして,戻ってくるエネルギーでまたアシストするというのができればと。大容量サーボにとっては省エネ,かつ大電力が流れる際に商用電源が一気に落ちるのを防ぐことが必須ということでプレスメーカーのお客さまと新規開発をしました。

―開発時に苦労したことはありますか?

プレスメーカーに最初に行ったときに,タンデムプレスのお話を聞きました。4台,5台くらいのラインになって数秒間でボンボン…と流しながらプレスしていくというもので,そこには,プレス間で被加工材を運ぶロボットがあるんですが,瞬停や停電が起こるとロボットがプレスに挟まれて壊れてしまうんです。そこで,お客さまはロボットのバックアップ電源を探していました。

―最初はロボット用UPSが話のスタートということですか?

そうです。最初はそれで訪問しました。工場のなかというのは鉛バッテリはNGなんですよ。なぜなら,バッテリには,使わない状態でも必ず電圧が存在するので,無電圧にできないからです。何か壊れたときに交換しようと思っても電圧があると作業者が危険なのです。工場は無電圧作業というのが第一なんですね。
そこで,当時開発していた瞬停補償装置「SANUPS C23A」をご提案しました。C23Aというのはバッテリを電気二重層キャパシタに変えたものなので,電圧を0にできます。バックアップ時間なんて一瞬だけでいいので十分でした。
そんなのがあるのってことでお客さまが飛びついて,ちょうど開発機があったのでお貸ししたんです。停電試験をやったら,7秒くらいロボットが動いたんです。それで,お客さまが感動されて,「これだよ!」と。そこで信頼を勝ち得ました。

その信頼から,プレス本体で困っていることがあり,やってみないかと言われました。それは,モータ力行時に大電力が発生するので,それを改善する装置を探していて,作っているけどうまくいかない,という相談でした。
そのときには,立体駐車場の案件で回生電力補償装置の開発をしていたので,交流入力400Vではないですが,そういう機能の装置で開発しているものはありますとご紹介しました。そこから,トントンと話が進み,見積もって,サンプルを作って,単体評価OK,製品化し,ピークカット装置「SANUPS K33A」が生まれました。
最後の方は省略しましたが,飲んでいたら3時間コースの長い苦労話です(笑)

―製品としてはサーボプレスに特化した形で開発していったと。
奥井 芳明

そうですね。ただ,サーボプレス以外のお話もあります。今,市場に大容量の モータに回生機能付きのコンバータが無いんですよ。この「SANUPS K33A」は400V系で回生コンバータを持っており,戻ってきたエネルギーを商用電源に返すという機能も内蔵しています。そこで,ピークカットは要らないからそれだけ欲しいというのもあります。
ピークカット装置といっていますが,それ以外でも声をかけていただくこともあって,そういった大容量モータ向けにも展開できればいいなと個人的には思っています。

―色々な展開が考えられるのですね。

そうですね。ただ,ひとつひとつラインに流すまではとても大変なんですが…
コンセプトとしては間違ったものではなく,いろいろな展開があるのではないかなと期待を持っています。

―夢を実現しいくうえで,いつも心に留めていることはありますか?

「モチベーションを高く」持てるかですかね。そこで,モットーは「楽しく!」なんです。楽しくなくちゃこんな辛いことできないです,実は。
お客さまと一体になって喜べて,将来役に立つものが形として残っていくのはうれしいです。そういう想いで,お客さまと一緒にいろいろやっています。個人的には,そういうお客さまと,「仲間」というかビジネス上の「友達」のようになっていき,今もずっと関係が継続しています。仕事をしていくうえで,このような「友達」が増えることが一番の宝物です。本当にいいお友達が増えました。そういう意味では楽しいです。

お客さまはお客さまでいろいろ開発していて,共感できるような大変さってあるじゃないですか。お互い本音で話し合って,信頼し合えるかどうかって難しいと思います。表面的なところだけだと,体面的にこれは言っちゃいけないとか,技術力が低いって見られたら嫌だとか,だったら言わないといって隠すじゃないですか。そんなだったら,新しいものはできないんです。だからまずは,お客さまのやりたいことや,当社のやれることを理解し合って信頼関係を築けたのは深いかなと。

―仕事への想いを聞かせてください。

今ある製品は,長い年月を経て形作られているものと思います。新しいものを今ある製品と同じように市場に残る製品とするために,お客さまと実証を繰り返して,開発時に思いをこめた良いところを分かってもらいたいです。新規・新市場で評価を受けるときも,あきらめず持っている力を投入して,徐々にラインとして流れるような展開をできるように下地を一生懸命つくっているつもりです。もちろん,現行製品をリニューアルし,改良,改善を重ね現行製品がその市場でより強くなることも大切ですよ。

今の世の中,UPSやモータって言葉は当たり前のものじゃないですか。グリッド管理装置やピークカット装置も,それが後でみると“世の中で当たり前”の装置にしたい。もっと夢を見れば,それは“全世界で”ですよ。
「それって何?」というのではなく,その言葉を聞けばこれだと分かるような製品になればうれしいですね。

(更新日:2012/11/7)

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