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ものづくり最前線(5)設計

低慣性サーボモータで世界に挑む!キーワードは小型・軽量・高加速・高トルク。―「SANMOTION R」シリーズ 低慣性ACサーボモータ

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

プラスチック製品を生産する射出成形機は,従来の油圧式に比べ省エネでクリーンな電動式が主流となりました。生産性の向上や薄肉成形,そして複雑な形状を安定して成形するための高精度化・高品質化が求められる電動射出成形機の性能は,サーボモータの加速性能に大きく依存します。
今回は,このような市場ニーズに応える「SANMOTION R」シリーズ フランジ角サイズ180mm低慣性ACサーボモータを開発した,サーボシステム事業部 設計第一部の竹田さんにお話をうかがいました。

竹田 亨(たけだ とおる)

サーボシステム事業部設計第一部
サーボモータの開発,設計に従事

竹田 亨
―今まで開発に携わった製品や取り組みについて教えてください。

竹田 亨入社当時は,エンコーダグループでレゾルバ,つまり磁気式エンコーダの開発に携わっていました。その後,ACサーボモータグループに席を移し,主に中容量ACサーボモータの開発に取り組んできました。量産に入ってからの不具合を未然に防ぐため,設計段階から製品の性能・品質を作り込む目的で,三次元設計や公差解析と言った新しい設計手法にもチャレンジしました。
その結果,高速・高トルクと小型・軽量化の両立に加え,低損失・高効率なモータを実現し,現在,お客さま装置の性能向上と省スペース・省エネ化に大きく貢献しています。

―では,今回の「SANMOTION R」シリーズ フランジ角サイズ180mm低慣性ACサーボモータの製品概要を教えてください。

フランジ角サイズ180mm低慣性ACサーボモータ

これは,一般的なモータよりもロータイナーシャが小さいサーボモータで,主にプラスチック製品を生産する射出成形機向けに開発しました。射出成形機は油圧式から電動式が主流になっていて,成形機の性能は搭載するサーボモータの性能に大きく依存します。
当社は長年,この低慣性モータの技術を培ってきました。高速回転域まで瞬時に加速できる低慣性モータは,装置の加速性能を最大限まで向上することができる製品で,当社の魅力的な製品の一つだと思います。

図1 ロータイナーシャ比較 図2 最大角加速度比較
―開発の背景を教えてください。

当社従来品であるQ4シリーズの性能の向上を図るとともに,業界トップの小型・軽量化に加え,低損失・高効率を目指して開発が始まりました。

―この特長のなかで,こだわった点や苦労話はありますか?
竹田 亨

理論計算と数値解析シミュレーションから得られる結果と,実験検証から得られる実測値において,相互にどのような関係があるのか,見極めるのに苦労しました。
特に,このモータは業界トップの小型・軽量化を図っているとはいえ,定格出力が15kWのものにおいては,モータ質量が60kgを超えます。試作を何回も繰り返すことは,無駄も多く時間もかかります。そこで,理論計算と数値解析シミュレーションおよび実験検証を有機的に結びつけることにより,試作回数を減らすことができました。また,理論計算・解析・実験の結果が,矛盾なく結びついたときは感動しました。
さらに,社内で蓄積してきた樹脂モールド技術を活用することで,モータの小型・軽量化にともなう巻線温度上昇の低減を図ることができました。

―この製品は,高速・高トルクを図っていますが,コギングトルクも小さいですよね。

お客さま装置の低振動を実現するために,モータを滑らかに動かすための低コギングトルク化は必須です。トルク発生部の磁気回路の最適化により,高速・高トルク化とあわせて低コギングトルク化を目指しました。
実験検証で得られた結果に基づいて,コギングトルクに影響を与えるマグネット形状と固定子鉄心の形状を,数値解析シミュレーション上にモデル化しました。どのような形状なら,コギングトルクが低くなるのか何通りかのパターンで解析をおこない,解析から得られた形状を実際のモータに反映させて試作を行いました。その結果,解析と実験検証で得られた結果が一致しました。これは非常に感動しましたね。

―仕事のモチベーションはなんですか?
竹田 亨

お客さまに喜んでいただけるモータを開発できるのは幸せなことだと思います。「このモータの性能はいいね!」と。特に当社は,標準モータをカスタマイズして,お客さまが望むモータにして提供することを得意にしています。直接,お客さまの元へ足を運び,どのような仕様であるのが望ましいのか,お互いに考えながら作りあげていきます。技術的に難しいと考えられることもありますが,ご要望をできる限り叶えたいと思っています。
その結果,お客さまへ魅力的な製品を提供できると思います。
自分で考えて,作って,世の中に出したときに喜ばれたら,うれしいですよね。

―今後の夢や目標はありますか?

SANMOTIONを世界のトップブランドにしたいと思います。国内はもちろん,海外においても「このサーボモータはいいね」を喜ばれるモータを開発し,海外で勝てる製品を作りたいですね。

―最後に,読者のみなさまに伝えたいことは。

低慣性サーボモータは,当社が得意とする製品です。当社の低慣性を知らない方も,まだまだ多いかと思います。もし,このモータを使用していただければ,瞬時に高速回転まで立ち上がる加速性能に満足していただけると思います。
この製品は,高速・高トルク化,高加速度化による性能向上を実現するとともに,小型・軽量化を図った低慣性ACサーボモータです。電動化の普及が加速している射出成形機,バネ成形機,プレス機などの高速・高圧力化および省スペース化・省エネ化に大きく貢献できる製品です。

とにかく一度試してもらいたい,そうすれば良さが分かっていただけると思っています。

(更新日:2013/2/27)

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