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ものづくり最前線(8)設計

数々の困難を乗り越え,最高回転速度15000min-1の誘導電動機を開発。さらなる,モータ高速化への挑戦は続く! ―工作機械主軸用誘導電動機「SANMOTION S」シリーズ

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

工作機械の主軸には広い定出力特性を持つサーボシステムが必要で,従来からその特性が容易に得られる誘導電動機が使用されています。最近では,より生産性を高めるために,高トルク化と高速化の両立が求められています。今回は,工作機械主軸用誘導電動機「SANMOTION S」シリーズの開発をおこなった設計チームのみなさんにお話を伺いました。

関口 孝(せきぐち たかし)
関口 孝(せきぐち たかし)
サーボシステム事業部
設計第一部
木藤 昌宏(きどう まさひろ)
木藤 昌宏(きどう まさひろ)
サーボシステム事業部
設計第一部
志村 祐介(しむら ゆうすけ)
志村 祐介(しむら ゆうすけ)
サーボシステム事業部
設計第一部
―今回お話を伺う工作機械主軸用誘導電動機「SANMOTION S」シリーズの開発の経緯を教えてください。

関口
今回は,主に工作機械のマシニングセンタを製作しているお客さまからの要望で,主軸用に高速型のモータを開発しました。それが「SANMOTION S3」シリーズです。

SANMOTION S3
―製品の概要を簡単にお願いします。

関口
誘導電動機は,簡単・堅牢な構造で,高価なマグネットも不要なので,低コスト化に適したモータです。

今回開発した「SANMOTION S3」モータの大きな特長としては,従来品の「S4」モータに比べて瞬時トルクを1.5倍に向上させ,最高回転速度も1.9倍に高めたところです。また,ロータも工夫し,ロータイナーシャを従来比で約40%低減して,最大角加速度を大幅に向上させました。
マシニングセンタは,生産性を向上させるため加減速時間の短縮が重要です。最高回転速度までの加減速時間は従来の2〜3secに対し,開発したモータは500msecと非常に短くなっています。

連続領域の出力-回転速度特性/瞬時領域のトルク-回転速度特性
―従来品の「S4」シリーズと今回開発した「SANMOTION S3」シリーズの開発コンセプトの違いは?

関口
「S4」モータは,一般的な工作機械の主軸用モータであり,ロータが中慣性で最高回転速度が8000min-1とそれほど高くありません。旋盤が主な用途になります。

今回開発した「SANMOTION S3」は,マシニングセンタをターゲットに開発しています。
低速重切削を実現する低速での大トルク,ミーリング加工を高速化する高い回転速度,サイクルタイムを短縮するための短時間加減速を実現しています。

―開発するにあたり苦労した点はありますか?
作業風景

関口
従来より1.9倍も最高回転速度を高めたので,高速化には苦労しました。
強度対策はもちろんですが,高精度な加工を実現するために高応答制御が必要です。
高速かつ高応答に対応するため,検出器の取り付け精度の向上,最適な励磁電流にするためのパラメータ調整を何度も試行錯誤しました。モータ精度の向上とアンプ制御の工夫により,高応答と高速化の両立を図ることができました。

木藤
高速回転を達成するために構造設計し強度計算をおこなった結果,従来のモータより各部品の加工精度を上げる必要がありました。従来の方法では加工精度を上げることは難しく,加工方法・加工治具の見直しを何回もおこない,コストを抑えながら,加工精度を上げることが大変でした。

志村
高加減速を実現させるために,最適な電流の調整・パラメータの調整・ロータ構造の工夫など試験と試作を繰返しおこない苦労しましたが,結果的には最適な調整と最適なロータ構造にすることができました。

―普段はどういった想いで開発に取り組んでいますか?

関口
私は,お客さまのために!お客さまの要望を満足し,喜ぶ顔が見たい。それをモチベーションとして仕事をしています。
お客さまのために,厳しい要求でもクリアしていきます。今回の開発は大変苦労しましたが,最後は製品化できてほっとしています。

木藤
たくさんのお客さまに「山洋電気のモータを選んでよかったな」と言われるようなものを作りたいと思っています。

志村
私もお客さまのためですね。「山洋電気の製品でよかった」と言われるように取り組んでいます。

―今後はどのような製品開発をしたいですか?
サーボシステム事業部 設計第一部

関口
さらなる高速化モータの開発です。最高回転速度が20000min-1,24000min-1付近の需要があるので,それを満足できるようにしていきたいです。また,定格出力を上げて容量も拡大していきたいと思っています。お客さまには期待していただきたいです。

志村
私も高速化です。ものすごく困難と思いますが…。挑戦してできたときにはやりがいを感じると思っています。また,省エネルギーのための要素技術開発として,誘導電動機の高効率化に向けた取り組みをしていきたいと思っています。

―最後に,読者のみなさんへのメッセージをお願いします。

山洋電気はカスタマイズ対応も得意ですので,ぜひいろいろなご要望を言っていただきたいと思います。お客さまのご要望に沿えるようがんばっていきます。

(更新日:2014/1/7)

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