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ものづくり最前線(9)設計

お客さまのニーズに応えたい!耐環境性UPと低騒音化への挑戦。 ―太陽光発電用パワーコンディショナ「SANUPS P61B」シリーズ

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

近年,地球温暖化防止に向けたCO2削減への関心の高さから,太陽光発電システムを中心に再生可能エネルギーを利用した発電設備が増え続けています。さらに最近では集合住宅,店舗,小規模事業所の屋根などの限られた空間や遊休農地を有効利用できる小規模な太陽光発電システムに注目が集まっています。そのようななか,太陽光発電用パワーコンディショナ(パワコン)には,さらなる高効率化が期待されています。
今回は,太陽光発電用パワーコンディショナ「SANUPS P61B」シリーズを開発したパワーシステム事業部設計第二部のみなさんにお話を伺いました。

永井 正彦(ながい まさひこ)
永井 正彦(ながい まさひこ)
パワーシステム事業部
設計第二部
北澤 誠(きたざわ まこと)
北澤 誠(きたざわ まこと)
パワーシステム事業部
設計第二部
木村 博文(きむら ひろふみ)
木村 博文(きむら ひろふみ)
パワーシステム事業部
設計第二部
―「SANUPS P61B」の概要を簡単に教えてください。

永井
「SANUPS P61B」は,50kW未満の低圧連系に適したパワコンです。例えば,集合住宅や小規模事業所の屋根,遊休農地などを有効利用する小規模な太陽光発電システムに適しています。特長としては,耐環境性が高く,屋外設置ができるところです。保護等級IP65(*1)を取得しています。それと静音性が高いところですね。インバータの高周波ノイズ音の低減と,ファンを使用しない自然空冷により,低騒音化を実現しました。
また,5kWモデルには太陽電池モジュールの最大出力点を引き出すためのMPPT(最大電力追従制御)(*2)の回路が2つあるところにも特長があります。より多くの発電量を得ることができますので,お客さまにとって売電の際などのメリットになります。

*1 保護等級IP65
耐塵性:粉塵が内部に侵入しない/防水性:いかなる方向からの水の直接噴流によっても有害な影響を受けない(IEC60529による)

*2 MPPT(Maximum Power Point Tracking)
最大電力追従制御。日射強度や太陽電池表面温度によって太陽電池の出力が変動することに対し,常に電力の値を最大出力点に追従するように変動させる制御。

「SANUPS P61B」シリーズ外観
―「SANUPS P61B」が開発された背景を教えてください。

永井
やはりバックグラウンドとしては,地球温暖化対策への対応があります。導入が容易な単相用発電システムが,一般家庭の他にも集合住宅や小規模事業所の屋根,遊休地などに普及していくと考え,開発することになりました。そして,2012年から「固定価格買取制度」が導入されたことも,大きく後押ししています。

―開発にあたって,苦労した点はありますか?
作業風景

北澤
まず,無線通信のところですね。「SANUPS P61B」は,LCDパネルを使って,本体の操作や発電量などの確認を無線でもおこなうことができます。その無線通信の信頼性確保のため,手探り状態のところから始め,その評価と対策に苦労しました。有線と違い,無線だと目に見えないところで通信しているので,何が原因でノイズになっているのかわからないですから。

永井
保護等級IP65と自然空冷の実現に苦労しました。例えば防水パッキンの材質選定では,コストダウンと性能確保の両立のため,ゴム状の材料を塗布して防水することにしました。この材質がどんなものがいいのかという調査に始まり,長期使用に耐えられる材質を探しました。

木村

作業風景
回路の設計でも苦労しました。MPPTは,最大出力点を自動で求める制御のことですが,例えば太陽電池アレイが2面ある場合,MPPTを1回路で制御すると,それぞれの太陽電池の最大出力を引き出すことができません。5kWモデルにはMPPTが2回路あることで,それぞれの最大出力の点で発電が可能であり,最大出力を得ることができます。この機能の調整に苦労しましたが,評価を重ね,最終的にはうまくいきました。

また,日射により発電量が変わるので,いろんな条件を想定し評価して,作りこみをしなければいけなかった点でも苦労しました。太陽電池モジュールの模擬電源があるので,いろんな特性のカーブをセッティングして,パワコンに入れてパターンを評価しました。MPPTが1回路であれば従来の実績があるのでいいのですが,MPPTが2回路になったとたんに条件の組み合わせが増えるため,それぞれの制御が干渉しないか確認する作業など,とても大変でした。

回路系統図(5kWモデル)
―工夫した点を教えてください。

永井
ファンレスの自然空冷と保護等級IP65の実現のため,熱解析シミュレーションを導入したことです。自然空冷を採用した経緯を簡単に話しますと,お客さまの声として,ファンの音が気になるという声や,屋外設置の場合,昆虫などが装置に入り込んでしまいファンが回らなくなってしまうという声がありました。お客さまのためになんとかしたいと思ったのがきっかけです。そこで,設計段階から熱の流動を解析できるソフトウェアを導入し,ヒートシンクのサイズにあたりをつけたり,発熱部品の最適な配置を決めて試作に入りました。その結果,試作回数を減らすことができ,開発期間の短縮と試作コストを低減することができました。

―最後に,みなさんの仕事への想いを聞かせてください。
パワーシステム事業部 設計第二部

永井
お客さまのニーズに対し,新しい価値観・提案をしていく製品になるように意識しています。その提案のためのアイデアを出すところが非常に楽しいと思います。そのアイデアを実現する手段のアイデアを出したりするのも非常に楽しいです。そのために苦労に耐えながらやっています。
また,再生可能エネルギーである太陽光発電に携わることで,環境に役立てることを非常に誇りに思います。

木村
私は最初に携わった無停電電源装置(UPS)開発のなかで,営業と一緒にお客さまを訪問した際に,実際に製品が使われているサーバルームなどを見て,こんな風に使われているんだというのを目の当たりにしました。具体的に使用される時のイメージをつかめたことで,危険なところとか,触ったら感電しそうなところとか,実際に使用している人の立場に立ってみて,どういうものがいいんだろう,どうしたらいいんだろう,ということに気をつけながらいろいろ考えて製品開発しています。

北澤
私は今までUPSの開発に携わっていました。UPSは,当然日本や世界に出ている製品なんですが,あまり人の目に触れるところにないものが多かったんですね。ですが,「SANUPS P61B」は屋外仕様ということもあり,また,小容量なので家の隙間などに置かれてもおかしくないような製品です。デザイン面も含めて,お客さまの立場に立って開発することを心がけています。
私の中でUPSはどちらかと言うと人を守っているイメージがあったんですが,パワコンは「環境・地球を守る」というと壮大になっちゃいますけど,そういうイメージです。人の生活だけでなく,環境そのものを守れる仕事に携われることを非常に誇りに思っています。

(更新日:2014/2/12)

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