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ものづくり最前線(13)設計

業界初!“周囲温度+85℃で期待寿命40,000時間”チームで挑んだ業界トップレベルの耐温ファン San Ace 耐温ファン

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

プロジェクターやLEDライト向けなど,ファンの用途は近年さらに拡大し,それにともない性能への要求も高くなっています。今回は,「San Ace 耐温ファン」の開発秘話を中心に,現場のようすなどをクーリングシステム事業部 設計部の御供さんにお話を伺いました。

御供 重一(みとも しげかず)
1990年入社。
クーリングシステムの開発・設計に従事。
御供 重一(みとも しげかず)
―プロフィールを教えてください。

入社後,最初はUPS(無停電電源装置)の開発・設計を9年間ほどおこなっていて,そのあとファンの開発・設計に移りました。主に電気回路を担当しています。最近では,長寿命ファンなどに携わっています。

―「San Ace 耐温ファン」の特長を教えてください。

なんといっても,「使用温度範囲のワイドレンジ化」です。-40℃から+85℃までを実現しています。
また期待寿命も,高温に強い部材を使って,周囲温度85℃のとき40,000時間としています。使用温度範囲だけでなく,寿命にもこだわっているのが特長です。

San Ace耐温ファン40mm〜120mm角のラインアップ

―どのような市場をターゲットにしていますか?

高温での用途は,プロジェクター,LEDライト,インバータなどを考えています。低温での用途は,冷凍庫,極寒地の風力発電などです。
また,今時点では実用的ではないですが,車のヘッドライトにもLEDが利用され始めているので,今後の用途として期待しています。

―耐温ファン開発の経緯は?

そもそもは,照明に使われるLEDのライトを冷やしたいというお客さまからのご要望が発端になっています。その他の用途でも,慢性的に高温の環境のなかで,もう少し高い温度に耐えられるファンが欲しいとか,100℃でも耐えられるファンが欲しいといった要望をいただいていて,製品化を始めました。部品選定の結果,40,000時間の期待寿命が出せる上限ということで,85℃になりました。マイナス側のほうも,中国のお客さまから-30℃から-40℃でも耐えられるファンが欲しいということで,検討のうえ,-40℃で作りましょうと決めました。

―比較的昔から耐温ファンの要望があったと思いますが,いま製品化された理由は?

当社のグローバル化の一環で,ここ数年で国内だけでなく世界各国のお客さまから,使用温度についての要望をどんどんいただくようになってきて,需要の多さになんとか応えたいという思いからです。
また最近,低温,高温ともに耐えられるという部材が出てきまして,コストも下がってきたので,ようやく製品として実現できたという理由もあります。

―今回の開発でこだわった点,苦労された点はありますか?

85℃で期待寿命40,000時間を謳っているのですが,評価自体はマージンを見て広い温度範囲でテストを続けて,部材の故障率などを見ながら部材選び,構造検討をしています。

やはり,部材選びに時間がかかり,苦労しましたね。
温度が高いと樹脂が溶けたりしますし,温度を低くするとモータの巻線のコイルの抵抗値が小さくなって,羽根を外部から止めたときの電流値が上がったり,マグネットの種類によっては吸引力が変わってしまうので,回転速度の変動などが発生します。
マイナスからプラス,150℃くらいの幅のなかで評価をおこなっていますので,効率や回転数を気にして部材を選びました。

やはり一番は,高い温度のときに性能が出るように,そして壊れないということが大前提でやっています。

あとは,開発期間が短くて,忙しかったです。もともと開発期間に余裕はなかったのですが,今回は期間が短い割にラインアップも多く,一個の設計ができたら,評価試験に回して,また次のサイズを作る…という繰り返しで続けていきました。

―開発で想定外だったことは?

100℃のなかで湿度も上げた環境での評価試験で,樹脂が劣化して脆くなり強度が落ちてきてしまったので,途中で部材を変えたことがあります。何百時間か経ったあとに,そういう現象が起こることは,試験を通して初めて分かったことでした。評価試験をおこなったうえで,今現在で保証できるのは,85℃ですね。

―仕事への想いは?

私個人としての設計のポリシーは「小型化・軽量化・省エネ化」です。すべての開発案件においてこれらの点を重視して設計しています。
たとえば,80mm角のファンが必要な場合でも,60mm角など小さいもので同様のスペックを出せるのであれば,提案するようにしています。同じ風量・静圧・信頼性を小さいサイズでも出せるように…フレームひとつとっても薄さなど,色々な点にこだわって,設計をしています。

―仕事において,やりがいを感じていることは?

今回の開発は若手を含めてやっていたのですが,彼らには実務をやりながら,いろいろな問題を解決していけるような経験をしてもらおうと考えていました。堅苦しい組織ではなくチームとして,問題があったらすぐに皆で集まって考えるような雰囲気を作れるよう,心がけていました。結果的にうまくいき,若手にもいろいろ経験してもらうことができたのが,良かったですね。

作業風景
―どのようなチームで開発をしていたのですか?

今回は4名ですね。サッカーのチームのような感じですよ。それぞれの得意なポジションがあって,ボールを回しながら,ゴールを目指して早く良いものを仕上げるという感じです。

作業風景
―最後に,お客さまへお伝えしたいことは。

DCファンで,この広い使用温度範囲,期待寿命は,現時点で他社にはないものだと思います。苦労した自信作です。ファンの使用温度について課題を持っている方には,ぜひ使っていただきたいですね。

クーリングシステム事業部 設計部

(更新日:2015/8/28)

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