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ものづくり最前線(15)設計

コンセプトは“3つのE” サーボアンプの未来像を実現するために ACサーボアンプ「SANMOTION R 3E Model」

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

機械の生産性や加工品質を向上するため,サーボシステムにはさらなる性能・機能の向上,省エネルギー化,安全機能への対応などさまざまな要求があります。また,システムが多機能化し,多様化するなかで,簡単に使えることも重要です。
今回は,“Evolved(進化)”,“Eco-Efficient(省エネルギー)”,“Easy to use(使いやすさ)”の“3つのE”をコンセプトに開発された,ACサーボアンプ「SANMOTION R 3E Model」について,開発チームを代表してサーボシステム事業部設計第二部 村田佳幸さんにお話を伺いました。

村田 佳幸(むらた よしゆき)
サーボシステム事業部 設計第二部
1995年入社。
サーボアンプの開発,設計に従事。
村田 佳幸(むらた よしゆき)
―「SANMOTION R 3E Model」の製品概要について教えてください。
SANMOTION R 3E Model

ACサーボアンプ「SANMOTION R 3E Model」は“3つのE”というコンセプトをもとに開発しました。3つのEとは,“Evolved”進化した性能,“Eco-efficient”省エネルギー,“Easy to use”使いやすさです。
進化という観点では,サーボ性能,基本性能の向上とチューニング機能の拡充をおこないました。また,機能安全の規格レベル(*)を1ランク上げることで,高い安全性能を必要とする医療機器などにも使えるようになりました。
省エネという観点では,新しいパワーデバイスを採用して電力損失を低減したり,温度によってファンの回転数を制御し平常時の消費電力を削減したりすることで,消費電力を低減しました。また,消費電力モニタを追加して,アンプや装置がどの程度電力を消費しているか見えるようにしました。
使いやすさという面では,モータなしで動作シミュレーションする“仮想モータ運転”という機能を追加し,セットアップソフトウェアには“サーボ調整支援機能”を搭載しました。ほかにも,アラーム診断をしやすくするため,アラーム出力前後の状態を記録する“ドライブレコーダ機能”を搭載しました。

* 安全トルク遮断(Safe Torque Off)の安全性能を向上し,国際規格である“SIL3”/IEC61508,“PL=e”/ISO13849-1に適合しました。

―3つのEというコンセプトはどのように生まれたのですか?
開発会議

当社の開発はお客さまからの要求に応えていくという形が多かったので,はじめにコンセプトを話し合うというのは画期的なことでした。
これまでは,前のモデルをベースにそれを進化させよう,機能をアップさせようというかたちで開発を進めていたのですが,今回はもっと広い目で見て,さまざまな要望を取り込み,意見を集約して最終的に“3つのE”というコンセプト決めました。
市場動向や世の中の流れなど,設計部内はもちろんフィールドサービスや営業も含めさまざまな視点で意見を出し合いました。開発会議のなかでは,サーボアンプの未来像も話し合ったりしたんです。

―サーボアンプの未来像とは

今は実現できそうにない話も含め,いろいろな未来像がでてきました。例えば,サーボアンプは今後,二極化していくのではないかと。
ひとつは,現状のようなサーボアンプという製品を作ることです。そのなかには,機能のレベル別に高機能型アンプや機能廉価版アンプといったものが存在します。
もうひとつは,機能を集約したICチップのようなものを提供して,お客さまの装置にチップを実装してもらうという考え方です。
そういうことも将来はあるのではないかという話しも出たり,いろいろと面白い意見がありました。

―開発を進めていくにあたり,こだわった点はありますか?
作業風景

製品開発のときは,基本的にはサーボの基本性能を上げることを目的にするのですが,今回は使いやすさにかなり主眼をおいてつくりました。というのも,一部のお客さまから調整しにくいという意見がありまして…。現行機種でも,サービスマンがチューニングすればどのような負荷条件の機械でも高い性能を出せるのですが,お客さま自身でチューニングする場合は,調整が難しいという課題がありました。
また,山洋電気の強みであるカスタマイズ性を高めるという観点からも,使いやすさに重点的にこだわりを持って開発を進めました。

―今までと違って苦労したことはありますか?
作業風景

今までは過去の資産を流用していたので,カスタマイズのしやすさは疎かになっていましたが,今回は使いやすさ,追加や変更のしやすさを向上するためにソフトウェアを新規で設計しました。

やはり,過去の資産を使うと楽なんですよね。私はずっとサーボアンプのソフトウェア開発を担当しているので,過去に自分が作ったものをそのまま使ってきたので楽だったんです。
ただ,過去の資産を使い続けると,処理がだんだん入り組んできて,どこで何の処理をしているのか分かりにくくなってくるんです。その上にカスタマイズをするとなると,さらに構造がややこしくなって…他の機種に流用するときに,その担当者は大変だったと思います。

そこで,私が担当しているアンプの管理をしているプログラムに関しては,過去の資産をすべて捨て,まったくの新規で開発をおこないました。言語も変えたんですよ。プログラムの構造やアーキテクチャもまったくの新規だったのでかなり苦労はしました。構造を練り直して,誰がみても何の処理をしているかが分かるカスタマイズしやすいソフトウェアをまったく新しく作りました。
プログラム構造を作っていくアーキテクチャの構築や,どうすればカスタマイズしやすいかという検討に一番時間をかけました。

作業風景

実は,サーボアンプは標準機よりも,カスタマイズアンプのほうが出荷台数が多いんです。標準機はあくまでもベースとして,それをカスタマイズして特定のお客さま向けに作っていくというのが主流なんです。そこで,カスタマイズのしやすさは結構重要なポイントになります。さまざまなオープンネットワークへの対応もこれをベースに展開が図られます。

―製品開発はどのようなチームでおこなわれるのですか?
作業風景

1台のサーボアンプを開発するには,ソフトウェアとハードウェアと構造・筐体部分の3つのグループがあります。「SANMOTION R 3E Model」開発の場合,制御開発が6名,ソフトウェアが5名,ハードウェアが9名,構造設計が5名のチームでした。問題に直面するたびに,みんなで話し合い,解決し,連携しながら開発を進めていきました。

より早く成果を出すため,部内で頻繁に設計レビューをおこない,製品品質の向上やノウハウの共有を図っています。設計レビューでは,積極的に意見交換しながら,問題点はその場で抽出,解決し,限られた期間でも最高の製品をリリースできるようにがんばっています。

―最後に,今後の目標をお聞かせください。

「SANMOTION R 3E Model」は,今後もより多くの機能拡張をして,市場のニーズに合った製品にしていきます。
また,さらにオープンネットワーク対応や特定のお客さまの要望にお応えしたカスタマイズ対応によって,お客さまのニーズに合った製品を展開していきます。

サーボシステム事業部 設計第二部

(更新日:2015/11/11)

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