HOME > コラム > インタビュー > 「送風方向を切り替えられる」今までにないコンセプトの製品開発に挑戦!

ものづくり最前線(17)設計

「送風方向を切り替えられる」今までにないコンセプトの製品開発に挑戦! ―φ136mm×28mm厚リバーシブルフローファン「San Ace 136RF」9RFタイプ

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

近年,ファンは冷却以外の分野で使用されることが増えています。住宅換気や飲料用自動販売機,食品ショーケース,印刷機などの送風の分野です。今回は,リバーシブルフローファン「San Ace 136RF」9RFタイプを開発した,クーリングシステム事業部設計部のみなさんにお話を伺いました。

藤巻 哲(ふじまき さとし)
藤巻 哲(ふじまき さとし)

クーリングシステム事業部設計部

西沢 敏弥(にしざわ としや)
西沢 敏弥(にしざわ としや)

クーリングシステム事業部設計部

川島 高志(かわしま たかし)
川島 高志(かわしま たかし)

クーリングシステム事業部設計部

「San Ace 136RF」9RFタイプ
―リバーシブルフローファン「San Ace 136RF」9RFタイプの開発の背景について教えてください。

藤巻
もともとは,今までにないコンセプトで製品を作ろうという話が発端です。営業や設計,その他メンバーで話し合ったなかに,風を両方向に出せるファンもおもしろいねという話がでました。市場調査をしたところ,住宅用の熱交換換気装置に需要があることが分かったので,まずはその市場をターゲットにコンセプトをまとめて作ったというのがリバーシブルフローファンです。
これまでのファンは,装置の“冷却”を主な目的として開発がおこなわれてきましたが,このリバーシブルフローファンは“冷却以外”をターゲットにした初めての製品です。
例えば,住宅換気においては,室内の温度を調整するため,外の空気を室内へ吸気する場合と室内の空気を外へ排気する場合があります。従来はこのような場合,吸気用と排気用とで別々のファンを設置する必要がありましたが,設備のコストや設置スペースを削減するために1台で両方向に送風できるファンの要求が高まってきていました。こうした要求に応えるために,両方向に送風できるリバーシブルフローファンの開発がスタートしました。

川島
実際は,今までも冷却用途以外で使われている場合も多いのですが,開発コンセプトを“送風”にしたのは初めてなんです。

インタビュー風景
―製品の特長は?

藤巻
なんと言っても最大の特長は,送風方向を切り替えられることです。さらに,両方向ともにほぼ同等の風量-静圧特性を実現しています。

―両方向に送風するファンということで,開発に苦労されたことはありますか?

西沢
両方向に同じ風量・静圧を出すということで,羽根の形状とスポークの角度などを工夫しました。通常は,吸い込み側と吐き出し側が決まっているのですが,それが逆向きになるとスポークが妨げとなります。それが抵抗にならないように,逆方向からの風の流れを考慮して,今までとは違った形状を取り入れました。
苦労は倍以上という感覚です。試作を何回もやって…風量・静圧はもちろんですが,課題となったのは音でした。
スポークが邪魔になって,逆方向の音を下げるのに苦労しました。どちらの方向も風量・静圧を同等に維持しつつ,音圧レベルをなるべく低く抑えるというところに時間がかかりました。

川島 高志

川島
そもそも,両方向に回すという発想がなかったので,前例もなく新規の回路設計から始めました。
三相モータであれば両方向に回すことができますが,これは単相モータなので片方向に回す前提で設計されているものです。単相モータを逆方向に回す場合は,起動のしかたなどを工夫しないと回らないことがあるため,両方向に安定回転させる制御回路の確立に苦労しました。

―現状のターゲットは住宅換気ということですが,今後の展開は?

藤巻
アイデアベースではいろいろな用途があります。例えば,自動販売機や食品ショーケースなどですね。両方向に風向きを変えることでメリットが出る装置は他にもたくさんあると思います。
展示会でも注目度が高いので,装置設計の方にいろいろと使い方を考えていただけているようです。

作業風景
―お仕事への想い,今後,力を入れていきたいテーマを教えてください。

西沢
私と川島君は特殊なものをやることが多いです。今回開発した「リバーシブルフローファン」も,その前に開発した「ACDCファン」も今までにないタイプのファンでした。今後も今までにない製品の開発にチャレンジしていきたいです。
今までにないものを生み出すにはそれ相応の時間と労力がかかりますが,だんだんとかたちになっていくことに面白味を感じます。これからもより良い製品を世に出せるよう,さまざまなアイデアを盛り込んでいきたいです。

川島
確かに,考えてみると西沢さんと私はずっといっしょですね。西沢さんが構造設計,私が電気回路の設計を担当しています。
クーリングシステム事業部が成り立っているのは,お客さまにファンを購入していただいているからです。そのことを心に留めて,ファンを使用するお客さまの立場に立って仕事をしていきたいです。
また,リバーシブルフローファンは今までにないものなので,製品として発展途上です。実際に使用していただくお客さまの声を大切にして,今後のラインアップ拡充に向け,製品の改良をしていきたいです。

藤巻
今回のリバーシブルフローファンは,熱交換換気装置の用途をメインに開発しました。今後,ラインアップを拡充していく予定です。
設計開発業務のなかでも,新たな市場開拓が期待できる製品を開発するときは,非常に意欲が高まります。このような製品開発を今後も続けていきたいです。
今後のテーマとしては,ファンの新たな価値を見出すため,今回開発したファンのような冷却以外の用途についてさらに追求し,新しいコンセプトの新しい製品を開発していきたいです。

クーリングシステム事業部 設計部

(更新日:2016/6/8)

“創造力”を高める「山洋電気の製品技術」
現場の「困った」を解決に導く,山洋電気の技術革新!
pagetop