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ものづくり最前線(18)設計

脱調レス・偏差レスを実現! −クローズドループステッピングシステム「SANMOTION Model No.PB」DC電源入力4軸一体型ドライバ

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

近年,位置指令に対する追従性が高い特長を生かしてオープンループ制御のステッピングモータを採用している装置において,高速化や信頼性を向上させるために,脱調レスシステムへの置き換え要求が高まってきています。

今回は,より指令追従性が高く,小型で,高精度な制御ができるクローズドループステッピングシステム「SANMOTION Model No.PB」4 軸一体型ドライバを開発したチームにお話を伺いました。

水口 政雄(みずぐち まさお)
水口 政雄(みずぐち まさお)

サーボシステム事業部 設計第二部

永里 正雄(ながさと まさお)
永里 正雄(ながさと まさお)

サーボシステム事業部 設計第二部

松本 昭弘(まつもと あきひろ)
松本 昭弘(まつもと あきひろ)

サーボシステム事業部 設計第二部

柳澤 竜一(やなぎさわ りゅういち)
柳澤 竜一(やなぎさわ りゅういち)

サーボシステム事業部 設計第二部

「SANMOTION Model No.PB」4軸一体型ドライバ
―今回開発をおこなった「SANMOTION Model No.PB」4軸一体型ドライバの特長を簡単に教えてください。

柳澤
今回のドライバは,偏差レス制御といって,従来の「SANMOTION Model No.PB」にはなかった新しい制御方式を搭載しています。従来の「SANMOTION Model No.PB」ですと,サーボモータと同じく,パルス指令を追いかけるように,遅れて動く現象がありました。新しく搭載した「偏差レスクローズドループ制御」は指令に対する遅れがわずかで,ステッピングモータと同等レベルの追従性を実現しています。
また,モード切り替え機能により,従来のクローズドループ制御と偏差レスクローズドループ制御のどちらをおこなうか,あらかじめ選択できます。

―偏差レスクローズドループ制御のメリットは?

柳澤
パルス指令に対する遅れがあると,モータが指令通りに動かないため,例えばX-Yテーブルで四角形を描く動作をした場合,形が歪んでしまったり,円を描く動作で円がギザギザになったりします。今までは偏差レスクローズドループ制御がなかったので,偏差をクリアして動作を調整したり,速度をうまく制御して偏差を少なくしたりと,調整に苦労していましたが,偏差レスクローズドループ制御では,こういった調整に費やす時間が格段に短くなります。

クローズドループ制御 偏差レスクローズドループ制御 比較

−この製品はどのような装置を対象にしていますか?

柳澤
半導体製造装置,ラベラー,印刷機など同期性が求められる装置ですね。例えば,ラベラーなど,センサーを検出した位置にモータを止めなければならない装置では,パルス指令を止めたとしても,位置偏差があるとその分だけモータが進んでしまいます。そのため,パルス指令の停止に連動して偏差クリアをおこなうなど,上位装置でシーケンスを組む必要がありましたが,この製品では不要になります。

水口 政雄 柳澤 竜一

水口
今後のグローバル化も視野に入れています。この製品は海外のお客さまにもお使いいただけるように,海外規格を取得してあり,コネクタなどは海外でも入手しやすいものを選定しています。あえて従来の製品との互換性を犠牲にしても,海外のお客さまのニーズも満たせるように設計しました。

―開発にあたって,苦労した点はありますか。
松本 昭弘

水口
偏差レスクローズドループ制御により,お客さまのコントローラが出力する指令に対して忠実に動作できるようになりましたが,遅れが出ることを前提に,指令を急加速・急減速させている装置に取り付けたところ,敏感に動作しすぎて加減速時に機械がオーバーシュートする問題が発生しました。そこで,実機テストで改良を重ね,動作の鋭さを微調整できる機能を追加することで解決しました。

永里
開発にあたっては,小型化を実現するために部品の選定をおこない,基板レイアウトを工夫するなど苦労しました。

松本
私が担当しているのは製品の構造設計です。今回のドライバは4軸一体型なので,今までと同じサイズの基板に部品を配置しながら,発熱を抑える設計をすることに苦労しました。
基本性能の実現に加え,お客さまの装置に取り付けたときのデザイン性と利便性も考えながら,筐体の見直しをおこなっています。さらに,製品の互換性などを考慮しながら取り付け穴の位置を維持したりしています。
今後チームとしてはネットワーク機能の強化を視野に入れていますので,さらなる構造の見直しも必要になるかと思います。

―最後に,今後の目標や仕事に対する想いを聞かせてください。
作業風景

水口
製品開発の際に心に留めていることは製品の使いやすさですね。機能が豊富で,きめ細かい設定ができる製品を求めるお客さまもいるでしょうし,逆にポイントを絞ってシンプルに仕上げた製品を求めるお客さまも多いと思います。機能・性能と使いやすさのバランスをどこに合わせるのかを常に考えながら,今後も新機能の開発をしていきます。

永里
今後の開発テーマである医療機器など当社として新しい分野に参入していくためには,製品の静粛性やノイズに強いといったことがさらに求められていくので,常に新しい技術を取り入れながら実現していきます。

柳澤
お客さまの色々な装置で製品を使用していただいていますが,やはりどんな装置にも対応できる製品のほうが使いやすいですよね。なるべく色々な装置に対応できるよういつも心掛けています。

松本
やはり小型化と軽量化が求められているので,レイアウトや筐体構造の見直しも重要なポイントになっています。その際,シミュレーションと実機との差を最小化し,なるべく早く正確な結果をお客さまに見せられるかが,私たちの今後の目標です。

サーボシステム事業部 設計第二部

(更新日:2016/8/1)

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