openpyxlのWebPublishingクラスの謎を探る(MHTファイル出力)

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はじめに:openpyxlの奥深くに眠る、WebPublishingの謎

Pythonライブラリopenpyxlを使いこなしていくと、時折、そのドキュメントの片隅に奇妙なクラスが記載されていることに気づきます。その一つがWebPublishingです。

workbookオブジェクトの属性として存在するものの、その具体的な用途を解説した文献はほとんど見当たりません。そして、このクラスを調べていくと「MHTファイル」という、さらに謎めいたキーワードに突き当たります。

この記事は、openpyxlの知られざる機能WebPublishingと、それに関連するMHTファイル出力の謎を解き明かすための調査レポートです。

File 1: WebPublishingクラスとは何か?

まず、WebPublishingクラスの正体から探っていきましょう。

調査の結果、このクラスは Excelの「Webページとして保存」機能に関する設定情報を.xlsxファイル内に記録するためのもの であることが判明しました。

重要なのは、openpyxl自身が.xlsxファイルをWebページ(HTMLやMHT)に変換するわけではない、という点です。あくまで、Excelアプリケーションがそのファイルを開いて「Webページとして保存」を実行した際に参照する「設定値」を、Pythonコードで事前に埋め込んでおくための機能なのです。

File 2: もう一つの謎「MHTファイル」とは?

WebPublishingの調査で浮上した「MHTファイル」。これは一体何なのでしょうか。

MHTは「MHTML (MIME HTML)」の略称で、Webページの内容(HTML、CSS、画像など)を、すべて単一のファイル(.mht)にまとめて保存する形式です。

かつて、Webページをオフラインで閲覧するためにIE(インターネットエクスプローラー)などで標準的に使われていました。Excelの「Webページとして保存」機能も、このMHT形式での出力をサポートしており、WebPublishingクラスの設定の多くは、このMHTファイルを生成する際の細かな挙動を制御するためのものだったのです。

File 3: コードで見るWebPublishingの設定情報

では、openpyxlを使って、このMHTファイル出力のための設定を.xlsxファイルに埋め込むコードを見てみましょう。これは、いわば未来のExcel操作のための「指示書」をファイルに書き込むようなものです。

from openpyxl import Workbook
from openpyxl.workbook.web import WebPublishing

wb = Workbook()

# MHTファイル出力などを想定したWeb発行設定を作成
web_settings = WebPublishing(
    targetFile='monthly_report.mht', # 出力ファイル名を指定
    thicket=True,                    # 画像などのサポートファイルを埋め込む
    longFileNames=True,              # 長いファイル名を許可
    css='inline'                     # CSSをインラインで埋め込む
)

# ワークブックに設定を埋め込む
wb.web_publish_settings = web_settings

# 設定が埋め込まれたExcelファイルを保存
wb.save("report_with_websettings.xlsx")

print("Web発行設定を埋め込んだExcelファイルを保存しました。")

このコードを実行しても、monthly_report.mhtが生成されるわけではありません。

しかし、生成されたreport_with_websettings.xlsxを古いバージョンのExcelで開き、「Webページとして保存」を実行すると、ここで設定したmonthly_report.mhtというファイル名がデフォルトで表示され、画像が埋め込まれた単一ファイルとして保存される、という仕組みです。

調査報告:WebPublishingの現代における位置付け

我々の調査で、WebPublishingクラスの謎はほぼ解明されました。

  • 目的: Excelの古い「Webページとして保存(MHT形式など)」機能のための設定値をファイルに記録すること。
  • 機能: openpyxl自体はMHTファイルを出力しない
  • 現状: Web技術の進化とMHT形式の衰退により、この機能は**レガシー(時代遅れ)**と化している。

現代において、ExcelのデータをWebで共有したいのであれば、pandas.DataFrame.to_html()でHTMLテーブルを生成したり、CSVで出力してJavaScriptライブラリで描画したりするのが一般的です。WebPublishingクラスを新規に利用するメリットは、残念ながら見当たりません。

まとめ:謎の解明、そしてopenpyxlへの理解

openpyxlWebPublishingクラスとMHTファイル出力の謎を探る旅は、我々をExcelとWebの技術史の一幕へと導いてくれました。

普段決して使うことのない機能かもしれませんが、その存在理由を知ることは、openpyxl.xlsxというファイルフォーマットの仕様にいかに忠実であるか、そしてソフトウェアの機能がいかに時代と共に移り変わっていくかを教えてくれます。

この知的好奇心を満たす調査を経て、我々のopenpyxlへの理解は、また一段と深まったと言えるでしょう。

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