Python openpyxl: MinorGridlinesプロパティでグラフのデータ解像度を高める方法

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はじめに:この記事で解決できること

Pythonのopenpyxlでレポート用のExcelグラフを自動生成していると、「もっとグラフの数値を詳細に読み取れるようにしたい」と感じることはありませんか?主目盛線(MajorGridlines)だけでは、データの大きな傾向は掴めても、細かい値の比較が難しい場合があります。

この記事では、その課題を解決する**「補助目盛線(MinorGridlines)」に焦点を当てます。補助目盛線を追加することで、グラフの視覚的な「データ解像度」**を向上させ、よりプロフェッショナルで分析しやすいグラフを作成する方法を解説します。

この記事を最後まで読めば、以下のスキルが身につきます。

  • グラフの「データ解像度」とは何か、なぜそれが重要なのかがわかる
  • openpyxlでグラフに**「補助目盛線(MinorGridlines)」を追加**し、データをより詳細に読み取れるようにする方法がわかる
  • 追加した補助目盛線の色や線の種類を自由にカスタマイズする方法がわかる
  • 補助目盛線が表示されないときの原因と、軸の目盛り設定(minorTickMark)との関係性がわかる

それでは、一歩進んだグラフ作成術をマスターしていきましょう。


準備:解説のベースとなるグラフを作成する

まず、今回の解説で使用する基本的な棒グラフをPythonで作成します。以下のコードは、いくつかのサンプルデータからグラフを生成し、Excelファイルとして保存するものです。

このコードをベースに、補助目盛線を追加・編集していきます。openpyxlが未インストールの方は、pip install openpyxlでインストールしておきましょう。

import openpyxl
from openpyxl.chart import BarChart, Reference

# 1. ワークブックとシートを準備
wb = openpyxl.Workbook()
ws = wb.active
ws.title = "MinorGridlines_Chart"

# 2. グラフの元データを書き込む
rows = [
    ("製品", "評価スコア"),
    ("A", 85),
    ("B", 92),
    ("C", 78),
    ("D", 88),
]
for row in rows:
    ws.append(row)

# 3. 棒グラフオブジェクトを作成
chart = BarChart()
chart.title = "製品評価スコア"
chart.y_axis.title = "スコア"
chart.x_axis.title = "製品"

# Y軸の範囲を0-100に設定して見やすくする
chart.y_axis.scaling.min = 0
chart.y_axis.scaling.max = 100

# 4. データをグラフに設定
data = Reference(ws, min_col=2, min_row=1, max_row=5, max_col=2)
cats = Reference(ws, min_col=1, min_row=2, max_row=5)
chart.add_data(data, titles_from_data=True)
chart.set_categories(cats)

# 主目盛線を設定(比較のため)
chart.y_axis.majorGridlines.spPr = openpyxl.drawing.line.LineProperties(solidFill="C0C0C0") # 薄いグレー

# 5. グラフをシートに追加
ws.add_chart(chart, "E2")

# --- ここからMinorGridlinesの操作を追加していく ---


# --- 最終的なExcelファイルを保存 ---
wb.save("MinorGridlines_Sample.xlsx")

このコードを実行すると、Y軸に薄いグレーの主目盛線が入ったグラフが作成されます。


なぜ補助目盛線が必要か?グラフの「データ解像度」を考える

本題に入る前に、なぜ補助目盛線が重要なのかを理解しておきましょう。

結論から言うと、補助目盛線は、主目盛線の間をさらに細かく分割し、細かい値の比較や読み取りを容易にするためにあります。 これが「データ解像度を高める」ということです。

例えば、上記のグラフで主目盛線が20刻み(0, 20, 40…)だった場合、「85」と「88」の差は視覚的に曖昧です。しかし、そこに10刻みの補助目盛線を追加すれば、その差は一目瞭然になります。

  • MajorGridlines(主目盛線): データの全体像や大きな傾向を把握するために使う。
  • MinorGridlines(補助目盛線): データ間のわずかな差を読み取ったり、より正確な数値を把握したりするために使う。

このように、補助目盛線は、特に精密なデータ分析が求められる場面で絶大な効果を発揮します。


【基本】MinorGridlines(補助目盛線)をグラフに追加する

それでは、実際に補助目盛線を追加してみましょう。

結論は、MinorGridlinesオブジェクトのインスタンスを生成し、対象の軸(y_axisなど)のminorGridlinesプロパティに設定することです。

MinorGridlinesはデフォルトで存在しない

ここで重要な注意点があります。majorGridlinesプロパティは最初からオブジェクトが存在しますが、minorGridlinesプロパティの初期値はNoneです。そのため、majorGridlinesのようにいきなり書式設定(.spPr)をしようとするとエラーになります。

まず、MinorGridlinesクラスをインポートし、そのインスタンスを作成する必要があります。

Y軸に補助目盛線(水平線)を追加するコード例

以下のコードを、先ほどの準備コードの「--- ここからMinorGridlinesの操作を追加していく ---」の場所に追加してください。

from openpyxl.chart.gridline import MinorGridlines

# Y軸に補助目盛線を追加
chart.y_axis.minorGridlines = MinorGridlines()

たったこれだけです。このコードを追加して実行すると、グラフの主目盛線の間に、デフォルトのスタイルの補助目盛線が追加されます。


【応用】補助目盛線の見た目をspPrでカスタマイズする

デフォルトのままだと、補助目盛線が目立ちすぎて逆に見づらくなることがあります。デザインを調整して、主役であるデータを引き立てるようにしましょう。

結論として、補助目盛線の書式設定も、主目盛線と同様にspPrプロパティとLinePropertiesクラスで行います。

一般的に、補助目盛線は主目盛線よりも「薄い色」「細い線」「点線や破線」にすると、バランスの取れた見やすいグラフになります。

from openpyxl.drawing.line import LineProperties
from openpyxl.chart.gridline import MinorGridlines # 再掲

# 補助目盛線の見た目を定義 (薄いグレーの点線)
line_props = LineProperties(
    solidFill="DCDCDC",  # 主目盛線よりさらに薄いグレー
    prstDash="dot"       # 点線 (dot) or 破線 (dash)
)

# MinorGridlinesオブジェクトを生成し、その書式(spPr)に設定
minor_lines = MinorGridlines()
minor_lines.spPr = line_props

# Y軸にカスタマイズした補助目盛線を設定
chart.y_axis.minorGridlines = minor_lines

このように、LinePropertiesで好みのスタイルを定義し、それをMinorGridlinesオブジェクトのspPrに設定してから、最終的に軸のプロパティに代入します。


重要:補助目盛線の「数」を制御する方法

MinorGridlinesを設定したのに、なぜかグラフに線が表示されない…。そんな時は、軸の**minorTickMark**プロパティを疑ってください。

結論として、補助目盛線が描画されるかどうかは、軸の補助目盛り(minorTickMark)の表示設定と密接に関連しています。

minorTickMarkプロパティとは?

minorTickMarkは、軸自体に表示される小さな目盛り(印)のスタイルを指定するプロパティです。取りうる値は'in'(内側)、'out'(外側)、'cross'(十字)、'none'(非表示)などです。

この**minorTickMark'none'(デフォルト値)になっていると、openpyxlは補助目盛り自体が存在しないと判断し、MinorGridlinesを描画してくれない**場合があります。

補助目盛線を確実に表示させる設定

補助目盛線が表示されない場合は、minorTickMark'in''out'に設定してみましょう。これにより、軸に補助目盛りが描画され、それに伴って補助目盛線も表示されるようになります。

# 補助目盛りが軸に表示されるように設定
chart.y_axis.minorTickMark = "out"

# 補助目盛りの間隔を5に指定
chart.y_axis.minorUnit = 5.0

また、minorUnitプロパティを使うと、補助目盛りが表示される間隔を明示的に指定できます。これにより、「主目盛線の間に何本線を入れるか」を正確にコントロールできます。


まとめ

今回は、openpyxlでグラフの「データ解像度」を高めるMinorGridlines(補助目盛線)の使い方を深掘りしました。

最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。

  • MinorGridlinesの役割: 主目盛線の間を埋め、データの詳細な読み取りを助けることで、グラフの視覚的なデータ解像度を向上させる。
  • 追加方法: minorGridlinesプロパティは初期値がNoneのため、まず**MinorGridlines()のインスタンスを生成**して軸に設定する必要がある。
  • カスタマイズ: 見た目の変更は、majorGridlinesと同様にspPrプロパティとLinePropertiesクラスで行う。主目盛線より控えめなデザインが推奨される。
  • 表示されない時の対処法: 軸の**minorTickMarkプロパティを確認**する。'none'になっている場合は'in''out'に設定することで表示されることが多い。

MajorGridlinesだけでなくMinorGridlinesも使いこなすことで、あなたのPythonプログラムが生成するExcelグラフは、さらに分析的で価値の高いものになるはずです。ぜひ、日々の業務や分析にご活用ください。

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