Python wxPython: wx.Sizeを使ったウィンドウとコントロールのサイズ調整術

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PythonでGUIアプリケーションを作成できるライブラリ wxPython。アプリケーションの「顔」とも言えるウィンドウや、その中に配置するボタンなどの「大きさ(サイズ)」は、使いやすさやデザインに直結する非常に重要な要素です。

「ウィンドウを好みの大きさで表示したい」「ボタンの幅を揃えたい」といったニーズは必ず出てきます。

この記事では、wxPythonで「幅と高さ」の情報を扱うための基本クラス wx.Size に焦点を当て、その基本的な使い方から、ウィンドウやコントロール(ボタンなど)のサイズを調整する実践的なテクニックまでを、初心者の方にも分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、wx.Size の役割と使い方を理解し、wxPythonアプリのコンポーネントの表示サイズを自由に設定・変更できるようになっているはずです。

wx.Sizeとは?

wx.Size は、wxPythonでGUIコンポーネントの「大きさ」を扱うための基本の型です。まずはこのクラスが何者で、なぜタプルではなくこれを使うのかを理解しましょう。

wxPythonにおける「幅と高さ」の基本の型

wx.Size とは、その名の通り、GUIコンポーネントの**「サイズ」、すなわち「幅 (width)」と「高さ (height)」のペアをひとまとめに扱うための専用のクラス(型)**です。

wx.Point が(x, y)の「位置」を表す基本クラスだったのに対し、wx.Size は(width, height)の「大きさ」を表す基本クラス、と対比で覚えると分かりやすいでしょう。

ウィンドウ、パネル、ボタン、テキストボックスなど、画面に表示されるほぼ全ての要素のサイズを指定したり、取得したりする場面でこの wx.Size が使用されます。

なぜタプル (width, height) ではなく wx.Size を使うのか?

Pythonには (300, 200) のようなタプルがあり、これでもサイズを表現できそうですよね。実際、wx.Point と同様に、wxPythonの一部の関数はタプルを受け付けてくれることもあります。

しかし、それでも wx.Size を使うことには明確なメリットがあります。

  1. コードの可読性(読みやすさ)が向上する
    • タプル: size_tuple = (300, 200) の場合、size_tuple[0] が幅、size_tuple[1] が高さです。[0] が幅なのか高さなのか、一瞬迷う可能性があります。
    • wx.Size: size_obj = wx.Size(300, 200) の場合、size_obj.widthsize_obj.height という名前でアクセスできます。これなら誰もが「幅」と「高さ」だと即座に理解できます。
  2. 型の明確化
    • 関数が引数として wx.Size を要求している場合、それは「サイズ情報が欲しい」という明確な意思表示になります。
  3. wxPython関数との親和性
    • wx.FrameGetSize() メソッドのように、現在のサイズを返す関数の多くは、戻り値として wx.Size オブジェクトを返します。この標準の型に合わせておくことで、データの受け渡しがスムーズになります。

これらの理由から、wxPythonでサイズを扱う際は、タプルではなく wx.Size を積極的に使用することが推奨されます。

wx.Sizeの基本的な使い方(作成とアクセス)

wx.Size の重要性がわかったところで、具体的な使い方を見ていきましょう。これらの使い方は wx.Point と非常によく似ており、一度覚えれば簡単です。また、これらの基本操作はwxPythonのバージョン(例: 4.x系など)に関わらず共通して利用できます。

wx.Size オブジェクトの作成方法

wx.Size オブジェクトの作成は非常にシンプルです。wx モジュールをインポートした後、wx.Size(幅, 高さ) のように呼び出します。

import wx

# 幅300, 高さ200 の wx.Size オブジェクトを作成
size1 = wx.Size(300, 200)

# 幅だけ指定し、高さはデフォルト(-1)にする場合
size2 = wx.Size(150, -1)

print(f"size1: {size1}")
print(f"size2: {size2}")

引数の -1 は「デフォルト値(自動計算)に任せる」という意味で使われることが多いです。

幅(width)と高さ(height)へのアクセスと変更

wx.Size オブジェクトから個別の値を取り出したり、後から変更したりするには、.width.height プロパティを使います。

import wx

size = wx.Size(300, 200)

# .width と .height で各値にアクセス
print(f"元の幅 (size.width): {size.width}")
print(f"元の高さ (size.height): {size.height}")

# 値を後から変更する
print("サイズを変更します...")
size.width = 400
# size.height = 250 と同義
size.SetHeight(250) 

print(f"変更後の幅: {size.width}")
print(f"変更後の高さ: {size.height}")

(※補足: size.GetWidth()size.SetWidth(400) のようなメソッド形式も存在しますが、.width.width = 400 といったプロパティ形式でのアクセスが現代的でシンプルです。)

wx.DefaultSize との関係

コードを見ていると wx.DefaultSize という記述に出会うことがあります。

これは、**「サイズをwxPythonの自動計算に任せる」ことを示す特別な定数(グローバル変数)**です。 wx.Button などのコントロールを作成する際、size 引数を指定しない場合と同じ意味を持ちます。

その実体は wx.Size(-1, -1) と同じであり、幅も高さも両方「おまかせ(デフォルト)」にすることを意味します。

ウィンドウ (wx.Frame) のサイズ調整術

wx.Size の基本を学んだところで、実際にウィンドウのサイズを調整する方法を見ていきましょう。ここでは、アプリケーションのメインウィンドウとなる wx.Frame を例にします。

import wx

class MyFrame(wx.Frame):
    def __init__(self):
        # (1) 作成時にサイズを指定する (size引数)
        initial_size = wx.Size(600, 400)
        
        super().__init__(None, title="wx.Size テストウィンドウ", size=initial_size)

        # (4) 最小サイズを指定する
        # これ以上ウィンドウを小さくできないようにする
        self.SetMinSize(wx.Size(400, 300))
        # (最大サイズを指定することも可能)
        # self.SetMaxSize(wx.Size(1000, 800))

        # --- ボタンなどの配置 ---
        panel = wx.Panel(self)
        vbox = wx.BoxSizer(wx.VERTICAL)
        
        # (3) 現在のサイズを取得するボタン
        get_size_btn = wx.Button(panel, label="現在のウィンドウサイズを取得")
        get_size_btn.Bind(wx.EVT_BUTTON, self.OnGetSize)
        vbox.Add(get_size_btn, 0, wx.ALL, 10)

        # (2) サイズを変更するボタン
        set_size_btn = wx.Button(panel, label="サイズを (800, 600) に変更")
        set_size_btn.Bind(wx.EVT_BUTTON, self.OnSetSize)
        vbox.Add(set_size_btn, 0, wx.ALL, 10)

        panel.SetSizer(vbox)

    def OnGetSize(self, event):
        """ (3) 現在のサイズを取得する (GetSize) """
        
        # GetSize()メソッドは wx.Size オブジェクトを返す
        current_size = self.GetSize()
        
        print(f"--- 現在のサイズを取得 ---")
        print(f"戻り値の型: {type(current_size)}")
        print(f"現在の幅: {current_size.width}")
        print(f"現在の高さ: {current_size.height}")
        
        wx.MessageBox(f"現在のサイズは (幅: {current_size.width}, 高さ: {current_size.height}) です", "現在サイズ")

    def OnSetSize(self, event):
        """ (2) 後からサイズを変更する (SetSize) """
        
        # 変更後のサイズを wx.Size で指定
        new_size = wx.Size(800, 600)
        
        print(f"--- サイズを変更 ---")
        print(f"{new_size} へ変更します。")
        
        # SetSize()メソッドでサイズをセット
        self.SetSize(new_size)

# アプリケーション実行
if __name__ == "__main__":
    app = wx.App()
    frame = MyFrame()
    frame.Show()
    app.MainLoop()

作成時にサイズを指定する (size引数)

【コード(1)】の部分です。wx.Frame を作成(__init__)する際、size 引数に wx.Size(600, 400) を渡すことで、ウィンドウの初期表示サイズを指定しています。

後からサイズを変更する (SetSize)

【コード(2)】の OnSetSize メソッドです。ボタンが押されたときなど、動的にサイズを変更したい場合は frame.SetSize() メソッドを使います。このメソッドは wx.Size オブジェクトを引数に取ります。

(※補足: frame.SetSize(800, 600)frame.SetSize((800, 600)) のように、タプルや個別の数値で渡すことも可能ですが、wx.Size を使うのが正式な方法です。)

現在のサイズを取得する (GetSize)

【コード(3)】の OnGetSize メソッドです。ウィンドウの現在の大きさを知りたい場合は frame.GetSize() メソッドを使います。このメソッドは、戻り値として現在の幅と高さを持つ wx.Size オブジェクトを返します

そのため、current_size.width のようにアクセスして値を取得できます。

最小サイズ・最大サイズを指定する (SetMinSize, SetMaxSize)

【コード(4)】の部分です。SetSize は現在のサイズを指定しますが、SetMinSizeSetMaxSize は、ユーザーがマウスでリサイズできる範囲を制限します

特に SetMinSize は重要です。SetMinSize(wx.Size(400, 300)) と指定しておけば、ユーザーがウィンドウをそれ以上小さくするのを防げます。これにより、ボタンが隠れてしまうなどのレイアウト崩れを防ぐことができます。

コントロール (wx.Buttonなど) のサイズ調整術

wx.Size の使い方は、ウィンドウだけでなく、wx.Button(ボタン)や wx.TextCtrl(テキスト入力欄)などのコントロール(ウィジェット)でも共通です。

作成時にサイズを指定する (size引数)

ボタン作成時に size 引数を渡すことで、そのボタンのサイズを固定できます。

import wx

# ... (FrameやPanelのセットアップ) ...

# Sizerを使う場合
sizer = wx.BoxSizer(wx.VERTICAL)

# (A) サイズを指定しない (wx.DefaultSize)
# ラベルの文字列 "自動サイズボタン" に合わせて最適なサイズが自動で決まる
btn1 = wx.Button(panel, label="自動サイズボタン")
sizer.Add(btn1, 0, wx.ALL, 5)

# (B) サイズを固定で指定
# 幅150, 高さ50 に固定する
btn2 = wx.Button(panel, label="サイズ固定 (150, 50)", size=wx.Size(150, 50))
sizer.Add(btn2, 0, wx.ALL, 5)

サイズ指定を省略した場合 (wx.DefaultSize)

上記のコード(A)のように size 引数を指定しない、または size=wx.DefaultSize を指定すると、コントロールが自動でサイズを計算します。 ボタンの場合は、ラベルの文字列長や、OSの標準スタイル(パディングなど)を考慮した、「ちょうどいい」サイズに自動的になります。

【重要】Sizerレイアウトとの関係

wxPythonでレイアウトを行う際、wx.BoxSizer などのSizer(サイザー)を使うのが一般的です。しかし、Sizerを使い始めると、SetSize が効かなくなるという問題に直面することがあります。これは初心者が陥りがちな罠です。

wx.Sizer を使うと SetSize が効かない?

Sizerの最も重要な役割は、「ウィンドウサイズが変更されたときに、中のコントロールの配置やサイズを**自動的に再計算(調整)**する」ことです。

そのため、あなたが button.SetSize(wx.Size(100, 100)) のように手動でサイズを指定しても、その直後にSizerが「いや、ウィンドウ幅に合わせてこっちのサイズにする」と自動調整をかけて上書きしてしまうのです。

Sizer利用時の推奨されるサイズ調整方法

Sizerを使いつつ、コントロールのサイズを調整したい場合の正しい方法は2つあります。

方法1: SetSize の代わりに SetMinSize を使う(推奨)

SetSize(このサイズにしなさい)の代わりに SetMinSize最低でもこのサイズは確保しなさい)を使います。

btn = wx.Button(panel, label="最低サイズを指定")
# SetSize ではなく SetMinSize を使う
btn.SetMinSize(wx.Size(200, 50))

# Sizerに "proportion=0" (伸縮しない) で追加
sizer.Add(btn, 0, wx.ALL, 5) 

こうすると、Sizerは「最低でも(200, 50)は確保しつつ、必要なら(wx.EXPAND 指定があれば)それより大きくする」という動作になります。サイズを固定したい場合はこれが最も確実です。

方法2: Sizerの Add メソッドの引数で調整する

Sizerにコントロールを追加する sizer.Add(...) メソッドの引数(proportionflag)で制御するのがSizerの本来の使い方です。

  • サイズを固定(伸縮させない)したい場合: sizer.Add(btn, proportion=0, flag=wx.ALL, border=5) proportion (伸縮比率) を 0(ゼロ)に設定します。
  • Sizerの幅に合わせて伸縮させたい場合: sizer.Add(btn, proportion=1, flag=wx.EXPAND | wx.ALL, border=5) proportion1 (または1以上) に設定し、flagwx.EXPAND を追加します。

Sizerを使っている場合は、SetSize での直接的なサイズ指定は避け、SetMinSize か Sizer の Add メソッドで制御するようにしましょう。

まとめ

今回は、wxPythonにおけるサイズ扱いの基本 wx.Size について、その概要から実践的な調整術までを解説しました。

  • wx.Size は「幅 (width)」と「高さ (height)」を扱うための専用クラスです。
  • wx.Size(width, height) で作成し、.width .height プロパティで値にアクセスできます。
  • ウィンドウ(wx.Frame)やコントロール(wx.Button)の作成時の size 引数や、動的に変更・取得する SetSize / GetSize メソッドで使われます。
  • wx.DefaultSize(または wx.Size(-1, -1))は、サイズを自動計算に任せることを意味します。
  • 最重要:wx.Sizer を使っている場合、SetSize は効きにくいです。代わりに SetMinSize を使うか、Sizerの Add メソッドの引数(proportion=0wx.EXPAND)で制御するのが正しい方法です。

wx.Size と Sizer との関係を正しく理解することが、wxPythonでコンポーネントの大きさを自在に操り、見やすいGUIレイアウトを実現するための鍵となります。

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